アトピー性皮膚炎とリーキーガット症候群の関係とは?
当ブログでは「アトピー性皮膚炎をサプリメントや食事の栄養効果で改善するための方法と対策」について述べていますが、今回は「アトピー性皮膚炎とリーキーガット症候群の関係」について書いていきたいと思います。
「リーキーガット症候群」とは、わかりやすくいえば、腸の粘膜のバリア機能が弱まって薄くなったり、穴があいたりすることで、細菌やウイルス、未消化のタンパク質などが体内に入りこみやすくなり、そのことが原因でアレルギー症状が起こりやすくなってしまうことです。
この「リーキーガット症候群」の問題について詳しいのは、医師の﨑谷博征氏です。﨑谷医師は、『「原始人食」が病気を治す』のなかで、「リーキーガット症候群」について以下のように述べています。
ヒトの腸内には、100種類以上、100兆個以上の腸内細菌が棲息しており、消化管内部で絶妙なバランスの生態系を作り出しています。その生態系は「腸内細菌叢」と呼ばれ、各人によって異なります。
この腸内細菌叢が変化し、腸の粘膜が薄くなる、もしくは穴が開くことで細菌やウイルスなどの異物が体内に入りやすくなることがあります。
これが、リーキーガットです。
そして、このリーキーガットが、多くの慢性炎症の主原因となっていることが判明してきました。
(中略)
腸の粘膜にはバリアがあり、異物が簡単に通り抜けて全身の血液中に入ることはできません。しかし、1度、腸のバリアが破られると、食物、バクテリア、ウイルスなど、腸の粘膜表面にあった抗原が血液中に入ってしまいます。
これを、「内毒素血症」といいます。(﨑谷博征『「原始人食」が病気を治す』p92~93)
また、バクテリアやウイルスのたんぱく質だけでなく、食事中のたんぱく質も消化を免れて腸に開いた穴から血液中に入り込みます。
通常の場合、私たちの体は、消化された小さな食物分子を必要としています。分子の大きさによって、腸壁で食物分子を選別しているのです。小さな食物分子として腸壁から吸収された場合に、それは栄養素として認識されます。
ところが、リーキーガットが起こると、大きな分子も腸壁を通過します。大きな食物分子は異物として認識され、異物に対する抗体が作られます。その後、もし仮にリーキーガットの症状がある程度改善したとしても、体内にはその食物分子に対する抗体が残っています。それがアレルギー反応を引き起こすことになります。
小さいお子さんが食物アレルギーに悩まされるケースがしばしばありますが、その発症にもリーキーガットがかかわっています。(﨑谷博征『「原始人食」が病気を治す』p93~94)
リーキーガット症候群について詳しく書かれている『「原始人食」が病気を治す』
リーキーガット症候群の原因とは?
﨑谷医師はこのように述べ、さらにリーキーガット症候群の原因になるものとして、以下を挙げています。
- 非ステロイド系消炎鎮静剤(NSAIDs)
- 経口避妊薬
- 抗生物質
- 細菌毒素(クロストリディアム・デフィスィール 毒素A)
- 長期間の点滴(絶食)
- 外傷、火傷などのストレス
- 糖類
- 糠
- アルコール
- グルテン
- レクチン
- サポニン/グルコアルカロイド
- カプサイシン
- タウチマン様たんぱく質
- タンニン
- 牛乳
(﨑谷博征『「原始人食」が病気を治す』p97~98)
アトピー性皮膚炎はアレルギーの一種であるとされていますので、このリーキーガット症候群を防ぐことで、アトピーの症状が緩和されることは十分考えられます。
そのためには、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバリア機能が高まるよう、腸内環境の改善を行うことが必要不可欠になってきます。
また腸内環境の改善によってリーキーガット症候群を防ぐために特に有効なのは、食物繊維を多く摂ることによって短鎖脂肪酸を生み出すことだと考えられます。
さらに納豆などの発酵食品もリーキーガット症候群を防ぐのに効果的だとされています。